KEMENの歴史

 

 

 現在の社長の父サリオガルテ氏が、1920年にスペインのバスク郊外に「サリオガルテ・ガン社」として数人の職人達とスタート。当時はサイドロックタイプの銃を一本一本丹念に手作りで少量生産しており、主にヨーロッパの狩猟の場で使用され、その緻密な制作技術は、貴族や富豪の間で評判が非常に高かった。

  1990年、父の技術を受け継いだ二人の兄弟が、正式に「KEMEN社」という名前で会社をスタートさせる。二人はデザインや社名を変えただけでなく、世界に通用する銃を創り始めた。その後1年も経たないうちに、ワールドカップやヨーロッパ選手権などで各国のスター選手達に絶賛され使われはじめた。その信頼性と技術力の高さに各地で賞賛の声があがりはじめ、1995年以降、他国(イギリス、オーストラリア)の代表選手にも使用され数々のメダル得ることになる。

 1998年に兄が仕事をリタイアして、弟であるファンクルー・サリオガルテ氏が社長に就任する。現在、ISSFが開催する公式な大会をはじめ、スポーティング射撃・狩猟など、幅広くそれぞれの目的にあった銃を作り続けている。
同年にはブルネイの王族やスペイン国王より注文を受け、王室ご用達猟銃メーカーの一つとして認められる。この出来事によりケメンの名は世界中に知れ渡り、2003年現在世界30ヶ国に輸出するようになった。
 ワールドカップクラスの選手・王族達がケメンを選ぶ理由は、銃の耐久性とリクエストオーダーに迅速に答える点であり、特に台木作成では細かな注文に対応することにより高く評価された。機械化された現代においても、ケメンは頑固なまでに手作りにこだわり、その芸術品と呼ばれる銃達には、随所に熟練職人による丁寧な手作りの技を見てとれる。
まさに、実用の中に生まれた美。日本でも、その機能的な美しさと使いやすさに惚れ込んで、2丁目3丁目とオーダーするユーザーが多い。「ケメン社」としての歴史は浅いが、伝説は生まれるべくしてすでに1920年に創られていたのである。

文責 小原 誠

 

丹念に検品するケメン社長

できあがった銃を丹念に検品するサリオガルテ社長